コラム
投稿日:2023.11.27
更新日:2024/11/18

どうする漬物?!江戸時代の発酵食文化

江戸時代の台所イメージ

江戸時代における漬物の役割

漬物の日常食としての位置づけ

 

江戸時代には、技術や流通の発展に伴い、さまざまな発酵食品が作られるようになりました。その中でも、塩の製造が増えて塩が普及し、食べ物を塩に漬けて保存することが多くなり、塩を含む発酵食品として、醤油、味噌、漬物、魚醤などが全国各地で開発されていきました。

漬物は白米を主食とする日本人にとって、ご飯を美味しく食べるために欠かせない副食であり、保存食として食べられてきました。野菜が塩漬けなどで脱水されるため、野菜の旨みとビタミン、食物繊維、ミネラルなどの栄養が凝縮されています。そのため、生野菜よりも栄養価が高いと言われています。また、発酵させた漬物には乳酸菌が含まれており、“腸活”にも取り入れやすい発酵食品です。

その他に、血圧の低下・生活習慣病の予防などの健康効果も期待できます。

漬物は、噛みごたえのある食材なので、よく噛むことで食べる時間が伸びて、満腹感を感じやすくすることができます。発酵しながら作られる漬物は、効率よく栄養を取ることができます。

保存食としての価値

 

  • 食料を長期保存できる
  • 独特の味わいがある
  • 塩分の摂取量を調整できる
  • 高級食品とされていた
  • 地域の歴史や気候、風土を反映している
  • 食事の価値観をつくっている

漬物は、野菜を塩や米ぬか、味噌などで漬け込むことで、細菌の繁殖を防止し、長期保存が可能でした。また、塩分の摂取量を調整することができ、海外貿易が発展する前の時代には、塩は貴重な商品であったため、漬物は高級食品とされていました。その価値のある漬物が保存できる理由は、塩による浸透圧の働きです。野菜を塩漬けにすると、浸透圧の働きで細胞から水分が出てきます。この高い浸透圧が腐敗菌の活動を抑制し、保存性を高めます。

祭事や行事での漬物の役割

漬物は、本格的に食べられるようになったのは奈良時代とされています。江戸時代の都市化の進展や・食文化の変化・漬物に関する書物の出版などを通じて漬物文化が大きく花開いていったとされています。江戸時代の漬物には、「たくわん・梅干し・沢庵漬け・かぶら漬け・きゅうり漬け」が代表的です。これらの漬物は、現在でも広く親しまれており、漬物は、日本の伝統的な食材であり、保存食、風味や彩りを引き立てる役割、儀礼的な役割があります。

具体的な行事における漬物の役割としては、以下のようなものが挙げられます。

  • お正月:おせち料理の定番として、数の子や昆布などの漬物が用いられます。数の子は子孫繁栄、昆布は長寿を象徴すると言われています。
  • お盆:おはぎに添える「おはぎ漬け」や、盆踊りの際に振る舞われる「盆踊り漬け」などがあります。おはぎ漬けは、故人の供養や、家族の団らんの象徴とされています。
  • 七五三:七五三の祝い膳には、祝い箸や祝い肴として、漬物が用いられます。漬物は、子どもの健やかな成長を願う意味合いがあります。
  • 結婚式:結婚式の引き出物には、漬物が用いられることがあります。漬物は、長い付き合いを象徴すると言われています。

江戸時代の漬物文化は、現代の漬物文化にも大きな影響を与えています。例えば、漬物屋の経営や、漬物の種類や品質の向上などにおいて、江戸時代の漬物文化の知恵や技術が活かされています。

 

現代の漬物は、江戸時代と比べて

 

  • 種類の増加

江戸時代の漬物は、塩漬けやぬか漬けが主流でしたが、現代では、酢漬けや味噌漬け、粕漬けなど、さまざまな種類の漬物が作られています。

  • 健康志向の高まり

漬物は、発酵食品としてさまざまな健康効果が期待できる食品です。現代では、健康志向の高まりを受けて、漬物の需要が高まっています。

  • 海外への普及

日本食の人気が高まるとともに、漬物も海外に広がりつつあります。

以上の点から漬物は、日本の食文化を代表する食品として、さまざまな形で発展していくことが期待されています。

ちなみにですが、漬物の日があるのはご存じでしょうか。毎月21日です。名古屋市にある萱津(かやつ)神社で「香の物祭り」として祝っていることが由来となっています。 カメに入れて供える事を考えました。 その結果、野菜が腐らず長期保存の出来る漬物となり村人はこの腐らない不思議な食べ物を、神様からの贈り物だと考えてとても感謝したことからだそうです。

このように漬物は、日本の行事食として、食卓に欠かせない存在です。

漬物とキムチ何が違うの?

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漬物とキムチは、どちらも野菜を塩や酢などの調味料で発酵させた食品ですが、その起源や特徴で大きな違いがあります。

漬物の起源は、古くから日本に伝わる伝統的な漬物です。一方、キムチは、唐辛子が朝鮮半島に伝来した16世紀頃に、漬物に唐辛子を加えて作られるようになったと言われています。

漬物の特徴は、主に塩漬けやぬか漬けが主流です。塩漬けは、野菜に塩をまぶして水分を抜いた後、そのまま保存する方法で、ぬか漬けは、野菜をぬか床に漬け込んで発酵させる方法です。キムチは、主に唐辛子、ニンニク、ショウガなどの香辛料を加えて発酵させた漬物であり、辛味が特徴で、さまざまな野菜で作られます。

このように、漬物とキムチは、共通点と相違点がある、近しい存在と言えます。

 

漬物Q&A

Q.【日本の漬物の歴史は?】

A.日本の漬物の歴史は古く、縄文時代後期にはすでに野菜を塩漬けにしていたとされています。奈良時代からは野菜や果物が塩漬けにされた漬物が寺院の僧侶の食事として用いられ、貴族の間で珍重される食材となりました。日本の漬物は、長い歴史と豊かな文化を持つ日本の伝統食です。

Q.【漬け物はいつから食べられるようになったのですか?】

A.漬け物がいつから食べられるようになったのか、正確な時期は分かっていませんが、縄文時代後期には塩漬けの技術が存在していたことが分かっています。そのため、少なくとも約3000年前には漬物が食べられていたと考えられています。

Q.【漬物は何のために食べるのですか?】

A.漬物は、野菜を長期保存するために作られたものです。冷蔵庫が普及する以前は、冬場の貴重なビタミン源として、漬物が重要な役割を果たしていました。他には、食卓の彩りや健康食として食べられていました。

Q.【漬物はなぜ保存食なのでしょうか?】

A.冷蔵庫が普及する以前から常温保存ができたため、野菜の栄養価を損なうことなく保存ができることや調理の手間が省けること等から漬物は保存食として優れているといえます。

 

#保存食

店長:豊田勝之

自称キムチ研究家の豊田です。辛いもの・韓国料理・韓国珍味が大好きで、全国のお客様に喜んでいただける商品を日々試行錯誤しながら作っています。
まだまだ納得いくものはできていないと思っていますので、引き続き頑張ってまいります!

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